ゲンゴロウの仲間

 

コツブゲンゴロウ Noterus japonicus

 体長3.8〜4.3mmで、北海道〜南西諸島に分布している。水田、湿地、池などに生息しており、縁の浅い部分に多い。繁殖は水田と池で行われるが、地域や立地条件により異なる。冬期は土の中や水際の浅い部分で越冬を行う。

ツヤコツブゲンゴロウ Canthydrus nitidulus

 交尾中のコツブゲンゴロウ。

キボシチビコツブゲンゴロウ Neohydrocoptus bivittis

 体長は3〜3.4mmで、本州、九州に分布しているが局地的である。。池に生息しているが個体数は少ない。環境省のRDBでは準絶滅危惧種に指定されている。

ムモンチビコツブゲンゴロウ Neohydrocoptus sp.

 体長は約2.2mmで、本州、四国に分布しているが局地的である。池のデトリタス中に生息しており、生息地においても見つけることは難しい。

 体長3.2〜3.5mmで、南西諸島に分布している。水田、湿地に生息している。

キボシケシゲンゴロウ Allopachria flavomaculatus

 体長は約2.5mmで、北海道〜九州に分布している。山地の清流に生息し、河川中の流れの緩やかな場所や、草の根、石の隙間などから得られる。前翅の黄色い紋には変異があり、2つ、4つ、6つの3タイプが知られている。

オオマルケシゲンゴロウ Hydrovatus seminarius

 体長は3〜3.8mmで、本州〜九州に分布しているが局地的である。池や放棄水田などに生息するが、個体数は少ない。

チャイロチビゲンゴロウ Liodessus megacephalus

 体長は2.6〜3.4mmで、本州〜南西諸島に分布している。海岸線の潮溜まりや水溜まり、海岸線から近い池などに生息する。成虫で越冬し、冬でも活動する。

チビゲンゴロウ Hydroglyphus japonicus

 体長は約2mmで、北海道〜南西諸島に分布している。水田や湿地、水溜まり、池など、水さえあれば様々な場所で見られる。浅い場所が好きで、生息地の浅い部分でよく見られる。繁殖は水田や水溜まりで確認をしている。

チビゲンゴロウの終令幼虫。

チャマダラチビゲンゴロウ Hydroglyphus inconstans

 体長は1.8〜2mmで、南西諸島に分布している。水田や湿地、放棄水田に生息しているが個体数は少ない。浅い場所が好きで、生息地の浅い部分で見られた。

ゴマダラチビゲンゴロウ Neonectes natrix

 体長は2.9〜3.7mmで、北海道〜四国に分布している。清流に分布しており、石の隙間や、植物の根際で採集できる。生息地での個体数は多いが、水の増減によって見つかる個体数は大きく変動する。伏流水の川に多い印象がある。

アカムシを捕食するゴマダラチビゲンゴロウ

ツブゲンゴロウ Laccophilus difficilis

 体長は4〜4.9mmで、北海道〜南西諸島に分布している。池や水田に生息しているが、水田ではあまり見かけない。繁殖は主に池で行われ、6月初期辺りから幼虫が出現し、7月に入るころには幼虫はほとんど見られない。

→ ツブゲンゴロウの幼虫。脱皮したばかりの個体は緑がかっている個体もいる。

ルイスツブゲンゴロウ Laccophilus lewisius

 体長は3.9〜4.7mmで、本州〜九州に分布している。池に生息しているが、個体数は少ないことが多い。大抵の場合はツブゲンゴロウと同所的に見られる。

シャープツブゲンゴロウ Laccophilus sharpi

 体長は3.5〜4.2mmで、北海道〜南西諸島に分布している。池や放棄水田に生息しているが、近年は急速に減少している。愛媛の生息地では、ツブゲンゴロウ、ルイスツブゲンゴロウと同所的に見られる。

↑ オタマジャクシを捕食しているツブゲンゴロウ。

キボシツブゲンゴロウ Japanolaccophilus nipponensis

テラニシセスジゲンゴロウ Copelatus teranishii

 体長は3〜3.2mmで、北海道〜九州に分布している。山地の清流に生息し、河川中の流れの緩やかな場所や、落ち葉の下などから得られる。小さいが足の力は強く、ツブゲンゴロウ類特有のジャンプ力は健在である。

 体長は4.8〜5.5mmで、本州〜九州に分布している。不安定な水域に生息し、筆者は流れのある用水路で採集した。河川の水溜まりや、池で採集された例もある。

モンキマメゲンゴロウ Platambus pictipennis

 体長は6.5〜8.7mmで、北海道〜九州に分布している。山地の清流に生息し、河川上、中流の流れの緩やかな場所や、落ち葉の下、石の隙間などから得られる。前翅の模様には変異があり、紋が大きい個体から、真っ黒な個体まで見られる。

サワダマメゲンゴロウ Platambus sawadai

 体長は7.9〜9.1mmで、北海道〜九州に分布している。山地の清流に生息し、河川上流に多い。落ち葉の下、石の隙間などから得られる。石の隙間に入り込んでる個体が多く、石を持ち上げても石にしがみついている個体をしばしば見かける。前翅はザラザラしており、扁平で体幅が広い。

ホソクロマメゲンゴロウ Platambus optatus

 体長は7〜8mmで、本州〜九州に分布している。山地の水溜まりや、川のよどみなどで見られ、落ち葉の下、石の隙間などから得られる。細長く、前翅には光沢がある。

クロズマメゲンゴロウ Agabus conspicuus

 体長は9.5〜11.5mmで、北海道〜九州に分布している。池に生息し、冬でも活動する。池で繁殖し、幼虫は初春には上陸し、蛹になる。成虫は分厚く、黒い。

↑ マルタンヤンマのヤゴを捕食するクロズマ

  メゲンゴロウ

↑ 蛹になるために上陸している幼虫

マメゲンゴロウ Agabus japonicus

 体長は6.5〜7.5mmで、北海道〜南西諸島に分布している。池や水たまりに生息し、冬でも活動する。池で繁殖し、4月〜5月中旬まで幼虫が見られる。池の縁の浅瀬の部分を好む。

ヒメゲンゴロウ Rhantus suturalis

 体長は11〜12.5mmで、北海道〜南西諸島に分布している。池や水たまりに生息し、一年中活動する。池主に水田や水溜まりで繁殖し、繁殖期間は春〜冬ととても長い。ライトによく飛んでくる。

↑ マツモムシを捕食する成虫

↑ 田んぼでユスリカを捕食する終令幼虫

ハイイロゲンゴロウ Eretes sticticus

 体長は9.8〜16.5mmで、北海道〜南西諸島に分布している。池や水田に生息し、主に水田や水溜まりで繁殖する。繁殖期間は7月頃である。本種は翅を乾かさずに飛ぶことができる変わった特徴を持っている。

← 水田で見かけた1令幼虫

シマゲンゴロウ Hydaticus bowringii

 体長は12.5〜14mmで、北海道〜南西諸島に分布している。池や水田に生息し、主に水田で繁殖する。繁殖期間は5〜6月頃である。成虫は冬には水場では見られず、越冬場所は不明であるが、石の下から得られたという報告がある。ライトによく飛来する。

 幼虫は特徴的な顔をしており、一目でわかる。

コシマゲンゴロウ Hydaticus grammicus

 体長は9〜11mmで、北海道〜九州に分布している。池や水田に生息し、主に水田で繁殖する。繁殖期間は5〜6月頃である。成虫は冬には水場では見られず、越冬場所は不明である。ライトによく飛来する。

 

ウスイロシマゲンゴロウ Hydaticus rhantoides

 体長は10〜11mmで、本州〜南西諸島に分布している。池や湿地、川のよどみなどに生息し、湿地で繁殖する。繁殖期間は5〜6月頃である。晩夏の湿地が干上がった頃、みかん畑の水がしみ込んだ泥の中で大量の個体が見つかったことがあるが、そこが越冬場所なのかもしれない。 

↓ 本種の新成虫と幼虫

マルガタゲンゴロウ Graphoderus adamsii

 体長は12〜14.5mmで、北海道、本州、四国、九州に分布している。池や湿地などに生息し、水田や池で繁殖する。繁殖期間は長く、石川県では6月初旬から8月末まで幼虫が確認できた。

↑  

水田で見つけた終齢幼虫。本種の幼虫はどくとくな形をしている。ミジンコを好んで捕食する。

クロゲンゴロウ Cybister brevis

 体長は20〜25mmで、本州、四国、九州に分布している。主に池に生息し、水田や池で繁殖する。石川県では6月初旬から8月末まで幼虫が確認できた。大型種の中では一番普通に見られるが、最近個体数が減っている。

↑  

水田で見つけた産卵跡。イボクサの茎の中に卵が入っている。

↑  

ヒメゲンゴロウの幼虫を捕食しているクロゲンゴロウの終齢幼虫。終齢幼虫は水田の中ではかなり強い。

↑  

幼虫の中には稀に頭部が黒色をした個体が見られる。

コガタノゲンゴロウ Cybister tripunctatus lateralis

 体長は24〜29mmで、本州、四国、九州、南西諸島、小笠原に分布している。主に池や水田に生息し、池や水田で繁殖する。昔は普通種で個体数も多かったみたいだが、近年の減少傾向は著しい。南西諸島や九州では個体数が多いが、全国的に絶滅が危惧されている。

 体長は21〜26mmで、本州、九州に分布している。主に池に生息し、時々湿地で見られる。私は、水田での繁殖は確認したことが無く、幼虫を見たことがあるのは池のみである。全国的に個体数が少なく、環境省RDBでは絶滅危惧I類にランクされている。

マルコガタノゲンゴロウ Cybister lewisianus

 体長は34〜42mmで、北海道、本州、四国、九州と広くに分布している。主に池や水田に生息し、池と水田両方で繁殖する。昔は普通種で個体数も多かったみたいだが、近年ではなかなか見ることができない。愛媛県では10年以上記録が無く、絶滅が危惧されている。

ゲンゴロウ Cybister chinensis

終齢幼虫同士の共食い。終齢幼虫は約8センチとかなり大きいので、とても迫力があった。自然下ではこのようなことが時々起こる。 →

シャープゲンゴロウモドキ Dytiscus sharpi

 体長は28〜33mmで、本州に分布しているが、関東産の種は亜種とされており、♀の前翅に溝が発生しない。主に池や湿地に生息し、湿地や放棄水田で繁殖する。幻の水生昆虫で、かなりの珍品であるため、マニアからの乱獲のダメージを強く受けてしまい、絶滅が危惧されている。

サンショウモの下で交尾をしているシャープゲンゴロウモドキ。

←   孵化して間もない1令幼虫。この種の幼虫は水面に浮いていることが多く、夜間に観察すると比較的発見しやすい。